建設業許可を維持するためには、5年ごとに更新の申請を行わなければいけません。
更新申請の時にも、いくつかの条件がありますが、その中でも特に重要なのが、毎年の決算変更届の提出となります。
決算変更届は地域よって、決算届、決算報告書、事業年度終了報告書などと呼び名が異なります。
決算変更届は原則、毎年の提出が必要
建設業許可を取得した業者は、法律により、事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届の提出が義務付けられています。
事業年度というのは、個人事業主の場合は1月から12月、法人の場合は法人ごとに異なります。
個人事業主の場合は、決算変更届の提出期限は翌年の4月末までとなります。
法人の場合は、例えば4月から3月が事業年度となっている会社は、決算変更届の提出期限は8月末までとなります。
5年分まとめて決算変更届を提出し更新ができるか
決算変更届は、毎年期限内に提出するのが義務です。
しかし、初めて許可を取得した業者など、決算変更届の存在を知らなかった・忘れてしまった、という人もいるでしょう。
結論として、
まとめて5年分の決算変更届を提出しても、許可の更新は可能です。
(地域によっては認められない場合があるかもしれませんが、神奈川県、東京都の場合は受け付けてもらえます)
ただ、提出ができるからといって、それをお勧めしている訳では決してありません。
毎年しっかりと決算変更届を提出しないことで、以下のようなデメリットが考えられるからです。
決算変更届を毎年提出しないことのデメリット
更新申請の期限に間に合わない可能性が出る
決算変更届は、税務署へ提出した決算書を建設業法に沿って適宜修正し、一年間の工事経歴書を作るなど、それなりの手間がかかります。
それを5年分まとめて行うとなると、専門家でない限り、かなりの時間が必要となります。
また、更新申請においても、多くの申請書類を作らなければいけません。
更新申請は、決算変更届とは異なり、
申請期限を1日でも過ぎると一切受け付けてもらえません。
つまり許可を失うことになります。
建設業者にとって死活問題となりますので、出来るだけこのようなリスクを避けるため、毎年しっかりと決算変更届を出してください。
始末書の提出が必要となる
決算変更届の提出書類の一つに、「納税証明書」があります。
納税証明書は、過去3年分(状況によっては4年分)までしか取得ができません。5年分まとめて決算変更届を提出するとなると、どうしても何期分かは納税証明書が取得できません。
その場合は、代わりに始末書の提出が必要となります。
名前からして、始末書に良いことは一切ありません。
影響の程度は小さいとは思いますが、行政に対して悪い印象を与えることなります。
業種追加を受け付けてもらえない
事業拡大にともない、取引先から建設業許可の業種を追加するように、要望を受けることがあるでしょう。
しかし、決算変更届が提出できていないと、業種追加の申請が受け付けられません。
つまり、業種追加の申請をする前に、期限が到来している決算変更届は、全て提出しなければなりません。
決算変更届の作成にはそれなりの時間がかかりますので、業種追加がそれだけ遅くなり、下手をすると取引先からの機会損失になってしまうかもしれません。
取引先・銀行からの信用悪化につながる
決算変更届の提出状況は、都県庁にて誰でも閲覧することができます。
もしかすると、取引先や銀行が、お客様の状況をチェックしているかもしれません。
期限が過ぎているのに決算変更届が提出されていないと、取引先や銀行からすれば、
「期限が守れない、管理体制が不十分な会社」といった印象を与えかねません。
また、決算変更届を提出できないことで
「何か財政上で後ろめたい事情があるのでは」と余計な影響を与える可能性もあります。