経営者としての経験(経営業務の管理責任者)、実務経験(専任技術者)を証明するための資料として、請負工事の注文書や請求書が必要となります。
しかし、注文書や請求書なら何でも認められるわけではありません。
経営経験・実務経験を裏付ける資料として認められるための注意点をお伝えいたします。
他地域の場合は判断基準が異なるため、神奈川県以外の許可を申請する場合には、それぞれの都県庁に事前にご確認ください。
建設業許可における注文書、請求書の注意点
許可申請者が法人・個人問わず共通の注意点
●注文書については、相手先の捺印がある原本が必要
●注文書がFAXで送られてくるなど、相手先の捺印が無い、もしくは捺印があってもコピーである場合には、注文書に対する入金確認資料も必要
●請求書については、請求金額に対する入金を確認するための通帳原本もしくは領収書の原本が必要
●請求金額と入金額に違いがある場合は、その違いを説明できる資料(入金明細など)が必要
●人工出し(人数×単価で金額が算出されたもの)の注文書、請求書は、経営経験の資料としては認められない(実務経験の資料としては認められる場合がある)
●注文書、請求書の内容として、許可を受けようとする業種とわかる文言の記載が必要
例)
大工工事・・・大工工事、型枠工事、造作工事
とび土工・・・解体工事、掘削工事など
電気工事・・・発電設備工事など
管工事 ・・・冷暖房設備工事など
防水工事・・・シーリング工事など
内装仕上・・・内装間仕切り工事、床仕上げ工事など
●注文書、請求書の内容として、増築、改修、リフォーム工事等となっている場合や、現場名しか書かれていない場合は、どの業種の工事か確認できる別途資料(見積書、内訳書、工程表、図面など)が必要
●最も古い注文書の注文日(もしくは請求書の請求日)から、最も新しい注文書の注文日(もしくは請求書の請求日)までで、必要となる年数を超えなければいけない
●各年に最低1件の注文書もしくは請求書が必要
注文書・請求書で必要となる年数を満たすためには
例えば、5年以上の経営経験を証明するために、注文書を用意することとします。
まず、最も古い注文書の注文日から最も新しい注文書の注文日までで、5年以上必要となります。
最も古い注文書が平成22年9月11日、最も新しい注文書が平成27年9月9日では、5年以上となりません。1日だけ足りていません。
最も古い注文書が平成22年9月11日、最も新しい注文書が平成27年9月12日であれば、5年を超えるため問題ありません。
次に各年に1件の注文書が必要となります。
平成22年と平成27年は上記で用意されたもので問題ありませんので、残りは平成23、24、25、26年の注文書となります。
これら4年分については、何月のものでも良いです。
注文日が平成23年1月~12月となる注文書を1件、注文日が平成24年1月~12月となる注文書を1件、・・・というように、各年1件をご用意ください。
許可申請者が個人事業主となる場合の注意点
●注文書や請求書に、個人事業主が特定できる情報の記載が必要
個人事業主が特定できる情報とは
注文書や請求書のどこかしらに(宛名や発行元、振込口座欄など)、個人事業主のフルネーム、その当時の住所、屋号の記載が必要となります。
単に名前だけ、屋号だけしか記載されていない注文書・請求書は認められない可能性があります。
例)
○注文書の宛名に屋号のみ記載されている場合、その屋号を使用していることが証明できる資料(確定申告書や通帳など)が無いと、その注文書は認められません。