建設業許可の要件の1つとして、経営業務の管理責任者という要件があります。
経営業務の管理責任者は経管(けいかん)と呼ばれます。

経管は建設業許可を取得する上で、最も難しい要件と言っても過言ではなく、実際多くの方が、経管の要件を満たせないために、許可取得を断念しています。

経管の要件は、知事許可と大臣許可、一般建設業と特定建設業、建設28業種といった許可の種類に関わらず同じ内容の要件となります。

経管は誰がなることができるのか?

許可の申請者が法人か個人かで異なります。

許可の申請者が法人の場合

経管になることができるのは、登記された役員(株式会社の場合は取締役、合同会社の場合は業務執行社員)のみであり、かつ常勤で勤務していなければいけません。

登記されているかは、会社の登記簿謄本でチェックされます。
また常勤で勤務していることは、社会保険加入や住民税の特別徴収、一定額以上の役員報酬が支払われているか等で判断されます。

許可の申請者が個人の場合

経管になることができるのは、事業主本人か支配人のみとなります。事業主であるかは確定申告書を提出することで判断されます。支配人であるかは登記の有無で判断されます。

法人の場合と同様に、常勤で勤務しているかの証明も必要です。

経管になるために必要な経験とは?

経管になるためには、建設業に関する経営者としての経験が、5年以上もしくは7年以上必要です。

必要となる年数は、許可を受けようとする業種による経験の場合は5年以上、それ以外の建設業に関する経験の場合は7年以上となります。建設業を営んでいたかは、建設業許可を持っていたかどうか、もしくは当時の請負工事に関する契約書等の書類で証明します。

また、経営者としての経験とは、法人の役員や個人事業主としての経験を指します。登記簿謄本や確定申告書により証明します。

具体例

以下のような人であれば、経管になることができます。

例:大工工事の許可を取得したい場合

●大工工事の建設業許可を持つ会社の役員として5年以上の経験がある
※大工工事の建設業許可を取得していた期間と、役員として登記されていた期間において、5年以上の重複が必要です。

●大工工事を行っていた会社の役員として5年以上の経験がある
※大工工事に関する契約書等の書類が用意できる期間と、役員として登記されていた期間において、5年以上の重複が必要です。

●大工工事以外の建設業許可を持つ会社の役員として7年以上の経験がある
※建設業許可を取得していた期間と、役員として登記されていた期間において、7年以上の重複が必要です。

●大工工事以外の建設工事を行っていた会社の役員として7年以上の経験がある
※大工工事以外の工事に関する契約書等の書類が用意できる期間と、役員として登記されていた期間において、7年以上の重複が必要です。

※個人事業主であった場合は、基本的に確定申告書が用意できる期間が、経営者であった期間と見なされます。

経管は許可を維持するための要件でもあります

経管の要件は、許可を取得するためだけの要件ではなく、許可を維持するための要件でもあります。

つまり、許可取得のため一時的に経管の要件を満たす人が役員等で在籍していたとしても、その人がいなくなった瞬間に(他の人が要件を満たせなければ)、許可を維持することができなくなります。

その状態で500万円以上の工事を行うなどすると、無許可営業となり処罰の対象となります。

タテル行政書士事務所
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