建設業許可を取得するために必要となる、経営者としての経営経験、技術者としての実務経験を証明するためには、大抵の場合、請負工事の契約書や注文書、請求書(以下、注文書等)を用意する必要があります。
しかし、神奈川県の建設業許可を申請する場合、個人事業主の確定申告書、法人の決算申告書の内容によっては、こうした注文書等が省略できます。
確定申告書の職業欄、決算申告書の事業種目欄
注文書等が省略できるのは、個人事業主の場合は確定申告書の職業欄、法人の場合は決算申告書の事業種目欄の内容次第となります。
個人事業主の確定申告書の職業欄
下記の赤枠に記載された言葉により判断します。
法人の決算申告書の職業欄
下記の赤枠に記載された言葉により判断します。
会社によっては、申告書のフォーマットが異なりますが、大抵の場合、「事業種目」や「業種」といった欄があるはずですので、そこに記載された言葉により判断します。
申告書の内容により注文書等が省略できる
職業欄、事業種目欄に、許可を取りたい業種が記載されていれば、確定申告書、決算申告書がある年度に関しては、注文書等が省略できます。
直接的な言葉が記載されている
職業欄、事業種目欄に、許可を取りたい業種の言葉がそのまま記載されていれば、何も問題無く、その年度に関して注文書等が省略できます。
ただし、土木一式工事業・建築一式工事業は除きます。
例:
大工工事業の許可を取りたい場合は、「大工工事業」や「大工」といった言葉
塗装工事業の許可を取りたい場合は、「塗装工事業」や「塗装業」といった言葉
管工事業の許可を取りたい場合は、「管工事業」といった言葉
間接的な言葉が記載されている
職業欄、事業種目欄に、直接的な言葉が記載されていなくても、許可を取りたい業種と推測できる言葉が記載されていれば、注文書等が省略できる場合があります。
例:
管工事業の許可を取りたい場合は、「空調工事」といった言葉
注文書等が省略できるかは、神奈川県庁にて確認が必要となります。
当事務所にご相談いただければ、すぐに確認させていただきます。
土木一式、建築一式は申告書だけでは認められない
土木一式工事業、建築一式工事業の許可を受けたい場合には、経営経験・実務経験共に、職業欄、事業種目欄にどんな言葉が記載されていても、申告書だけでは経験を裏付ける資料とは認められません。
必ず、工事内容が許可を受けたい業種とわかる、契約書もしくは注文書、もしくは請求書と入金確認資料を、一年に1件用意しなければいけません。
職業欄、事業種目欄に建設業だけ記載されている
非常に多い事例として、職業欄、事業種目欄に「建設工事」、「建設業」といった言葉が記載されている場合があります。
こうした言葉では、建設業とはわかるものの、意味が広過ぎるため、原則、注文書等の省略ができません。
ただ、経営者としての経験を7年以上により証明する場合には、こうした申告書があるだけで、注文書等が省略できます。
技術者としての実務経験については、残念ながら一切認められず、注文書等が必要となります。