建設工事を行うためには多くの資金が必要です。

資材の購入や職人確保のために、ある程度の資金がなければ建設業を営むことができません。さらに請け負う工事の規模が大きくなればなる程、より多くの資金が必要となります。

そのため、建設業許可においても、許可要件の1つとして資金の状況をチェックするための財産要件が設けられています。

財産要件は、知事許可と大臣許可、建設28業種において違いはありません。
しかし、一般建設業と特定建設業においては、求められる要件が異なります。

特定建設業の許可を受ける業者は、金額の大きな工事を請け負うことが想定されているため、一般建設業の要件に比べて、かなり厳しい財産要件となります。

一般建設業許可の財産要件

以下のうち、いずれかを満たせば要件クリアとなります。

1.直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること
2.500万円以上の資金調達能力があること
3.過去5年間、建設業許可を受けて継続して営業した実績があること

自己資本500万円以上とは

許可を申請する直前に税務署に提出した決算申告書(確定申告書)の内容にて判断します。

許可申請者が法人の場合

直前の決算申告書における貸借対照表の純資産の部の合計が500万円以上であることが必要です。(新設法人の場合は決算書が無いため、設立時の資本金の額が500万円以上かで判断します。)

許可申請者が個人の場合

直前の確定申告書における期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計額から、事業主貸勘定の額を引いた金額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金と準備金の額を加えた額が、500万円以上であることが必要です。

(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金
この金額が500万円以上であることが必要です。

500万円以上の資金調達能力とは

銀行口座の残高が500万円以上ある状態で銀行から残高証明を発行してもらうことで、資金調達能力があることの証明となります。
地域によっては、「融資証明書」や「許可申請者名義の固定資産評価証明書」でも証明となり得ます。

残高証明書には、残高の基準日(残高があった日)が記載されます。
基準日から1ヶ月が残高証明書の有効期間となります。
つまり、基準日から1ヶ月以内に建設業許可の申請を行わなければ、再度残高証明書を取り直さなければなりません。

許可を受けて継続して営業した実績とは

建設業許可を更新する場合を想定しており、初めて許可を申請する業者は1.もしくは2.を満たす必要があります。

特定建設業許可の財産要件

以下のうち、全てを満たせば要件クリアとなります。

1.欠損の額が資本金の20%を超えないこと
2.流動比率が70%以上であること
3.資本金の額が2000万円以上であること
4.自己資本の額が4000万円以上であること

欠損の額が資本金の20%とは

許可を申請する直前に税務署に提出した決算申告書(確定申告書)の内容から欠損を算出します。

許可申請者が法人の場合

決算書の貸借対照表において、繰越利益剰余金がマイナスとなっている場合にのみ欠損となります。もしプラスであれば欠損はありませんので、欠損の要件はクリアとなります。

{繰越利益剰余金の絶対値-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金)}÷資本金×100
この値が20%以下であることが必要です。

許可申請者が個人の場合

事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)÷期首資本期×100
この値が20%以下であることが必要です。

流動比率が70%以上とは

許可を申請する直前に税務署に提出した決算申告書(確定申告書)の内容から流動比率を算出します。

流動比率は、流動資産÷流動負債×100により算出されます。
この値が75%以上であることが必要です。

資本金が2000万円以上とは

許可を申請する直前に税務署に提出した決算申告書(確定申告書)の内容にて判断します。

※直前の申告書の内容において資本金の要件が満たせなくても、増資をすることで登記簿謄本の資本金が2000万円以上となっていれば要件クリアとなります。

※申請者が個人の場合は、確定申告書の「期首資本金」の項目で判断します。

自己資本の額が4000万円以上とは

許可を申請する直前に税務署に提出した決算申告書(確定申告書)の内容にて判断します。

許可申請者が法人の場合

直前の決算申告書における貸借対照表の純資産の部の合計が4000万円以上であることが必要です。(新設法人の場合は決算書が無いため、設立時の資本金が2000万円以上であり、かつ資本準備金と併せた自己資本が4000万円以上かで判断します。)

許可申請者が個人の場合

直前の確定申告書における期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計額から、事業主貸勘定の額を引いた金額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金と準備金の額を加えた額が、4000万円以上であることが必要です。

(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金
この金額が4000万円以上であることが必要です。

タテル行政書士事務所
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